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直木三十五 の世界

 文学賞の直木賞にその名を冠せられている直木三十五については、賞の名前は有名でも、直木その人はどんな作家か忘れられているように思います。いずれ、どなたか文学に詳しい方が直木三十五のサイトを作成してくださると思いますが、それまでのつなぎとして、どんな作品があったかをメモしておきたいと思います。

直木三十五・なおきさんじゅうご/1891(明治24)年〜1934(昭和9)年、小説家
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[追記] ご案内:
直木三十五氏、およびその作品については以下にすばらしいサイトが作られておりますので、今後はそちらのご参照をおすすめします。
外部リンク:「直木賞のすべて」のサイトより「直木三十五とは何者か」

 当初の主旨にもとづくこのページの役目は終了したと思います。当面このままデータは残しておきますが、制作者の個人目的用ということになりましょうか。(2002-02-28記)

ご案内:
2005年06月 出版 植村鞆音「直木三十五伝」(文藝春秋) ISBN:978-4-16-367150-5 20cm 273p

■ 作品の出版状況

 どんな作品があるかは、全集があれば一番便利なのですが、残念ながら、戦後は新たな全集は刊行されていないと思います。
直木三十五の死後まもなくの1934(昭和9)年に、改造社から「直木三十五全集」21巻が刊行され、戦後は、1991年に示人社から、改造社版の復刻版「直木三十五全集」21巻+別巻1冊(資料、評伝、年譜)が刊行されたにとどまると思います。こちらは分売不可でしたので、おもに図書館あたりでしか、手に取れないのではないかと思います。

 戦後においては、単行本は、ごく限られた作品のみがくり返し出版されている状況で、いろんな作品を手元において気軽に読むことができる環境ではないでしょう。

■ 直木三十五あれこれ

● 小伝「私の略歴」

これは 直木三十五 自身により書かれた小伝「私の略歴」です。
底本は:「直木三十五全集」第21巻 改造社 1935(昭和10)年3月刊 によります
初出:「現代大衆文学全集」続・第8巻『直木三十五集』(平凡社) 1931(昭和6)年3月刊 の巻末に掲載されたものです。

私の略歴

本名——植村宗一
年齢——三十五、卯の一白 [# 注1]
生地——大阪市南内安堂寺町
父 ——惣八、八十一才
母 ——靜、六十九才
族籍——平民
弟 ——清二
妻 ——須磨子、四十七才
長男——昂生 [#たかみ]
長女——木の實 [#このみ]
身長——五尺五寸六七分
軆重——十二貫百位

筆名の由來——植村の、植を二分して直木、この時、三十一才なりし故、直木三十一と稱す。この名にて書きたるもの、文壇時評一篇のみ。

 翌年、直木三十二。この年月評二篇書く。

 震災にて、大阪へ戻り、プラトン社に入り「苦樂」の編輯に當る。三十三に成長して三誌に大衆物を書く。

 三十四を拔き、三十五と成り、故マキノ省三と共に、キネマ界に入り「聯合映畫藝術家協會」を組織し、澤田正二郎、市川猿之助等の映畫をとり、儲けたり、損をしたりし——後、月形龍之介と、マキノ智子との戀愛事件に關係し、マキノと、袂を分つ。

 キネマ界の愚劣さに愛想つかし、上京して、文學專心となる。

 習癖——無帽、無マント、和服のみ。机によりては書けず、臥て書く習慣あり。夜半十二時頃より、朝八九時まで書き、讀み、午後二三時頃起床する日多し。

 速筆にて、一時間五枚乃至十枚を書き得。最速レコード、十六枚(踊子行状記の最終二十四は、この速度にて書く)

 酒は嗜まず。野菜物を好む。煙草は、マイミクスチュアか、スリーキャツスルのマグナムに限る。但し、金がないとバットにても結構。

 飛行機好きにて、旅客中、最多回數を搭乘し、レコード保持者たり。

 パノール號ロードスターを自家用自動車として所有す。中古千五百圓なりし品にて、菊池寛氏と共有の物なり。同氏と、文藝春秋社と、三者にて使用し、月經費を三分しつゝあり、圓タクよりあし。

 趣味——圍碁二段に二三目。將棋八段に二枚落。麻雀無段。カッフェ、待合、旅行、競馬嫌ひなもの無し。

 資産  自動車半臺分。刀劍少々。

[# 注1]このときの実際の年齢は40歳。上記筆名の由来以下により、35歳で年齢をとめている?

● 年譜等

比較的最近のものでは、尾崎秀樹 氏 編による年譜が次の本に収録されています。

・「直木三十五作品集」文藝春秋 1989年02月刊 ISBN978-4-16-310790-5,A5 840p
  収録作品:南国太平記、三人の相馬大作、寺坂吉右衛門の逃亡、寛永武道鑑、大衆文芸作法、死までを語る、大阪を歩く

・植村鞆音編「この人・直木三十五」鱒書房 1991年03月 ISBN978-4-89598-010-4,20cm 331p

・直木三十五全集 全21巻+別巻1 示人社 1991年07月刊 の別巻
  改造社版全集の復刊と別巻(資料篇 評伝 年譜)  

● 「直木三十五」に関する本

No.書名出版年月備考
#n04植村鞆音「直木三十五伝」
(文藝春秋)ISBN:978-4-16-367150-5
2005年06月
#n03福山琢磨・編、植村鞆音・監修「直木三十五入門 こんなおもろい人だった」
(新風書房)ISBN:978-4-88269-574-5
2005年02月
#n02230クラブ「南国忌の会のあゆみ 直木三十五追悼」
(230クラブ)ISBN:978-4-931353-40-4
2002年02月
#n01植村鞆音編「この人・直木三十五」
(鱒書房)ISBN:978-4-89598-010-4
1991年03月

■ e-text化されている作品

青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/ には
  作家別作品リスト:No.216 直木三十五 で、次の作品が掲載されています。
「鍵屋の辻」、「巌流島」、「傾城買虎之巻」、「相馬の仇討」、「大衆文芸作法」、「近藤勇と科学」、 
「長谷川時雨が卅歳若かったら」、「貧乏一期、二期、三期 ーわが落魄の記ー」

翻訳作品:チェスタートン ギルバート・キース 作の「金の十字架の呪い」、「作男・ゴーの名誉」、「サレーダイン公爵の罪業」

●このサイト
 「踊子行状記」(現在作成中!!)