資料[A]
マッカーサー元帥から吉田首相への書簡
毎日新聞 1949年9月18日(日) 第1面トップ「シャウプ勧告を重視。マ元帥から吉田首相への書簡」の記事中より書簡部分を引用したものです。
[# 注] この記事は、段落改行がなく、文章がべたに続いているため、適宜の段落に区切りました。また、文章の区切りが「、」となっているのを「。」に置き換えました。
--引用開始--
内閣総理大臣閣下
カール・シャウプ博士とその使節団員が作成した日本税制報告書をここに日本政府に伝達する。同使節団は現行の日本の税制体系について広範な調査を実施し、現在よりも一層公平な税制の確立に資する勧告を提出するため私が日本に招いたものである。
この特別使節団は過去四カ月にわたって綿密な研究を行い、この間社会各層の納税者と会見し、多数の異った実業、農業活動について調査を進めた結果一連の勧告を作成した。これ等の勧告は総合的に実施されるならば、日本の中央並に各地方政府の財政を健全な基盤の上に置く足がかりとなるものである。
私は、日本国民が一日も早く健全な財政制度の恩恵を受けることが出来るよう、政府においてシャウプ博士の勧告に示された広範な諸原則および諸目的を実現すべく、適当な計画を立て、国会が関係予算および安定計画と同時にこれを審議するのに十分間に合うように立案することが出来るものと期待する。
一九四九年九月十五日
--引用終わり--
資料[B]
吉田首相の返書
毎日新聞 1949年9月18日(日) 第1面トップ「シャウプ勧告を重視。マ元帥から吉田首相への書簡」の記事中より書簡部分を引用したものです。
[# 注] この記事は、段落改行がなく、文章がべたに続いているため、適宜の段落に区切りました。また、文章の区切りが「、」となっているのを「。」に置き換えました。
--引用開始--
連合軍総司令官閣下
昨日の閣下よりの御書簡並にカール・シャウプ博士とその使節団の手になる日本税制に関する報告書はたしかに受領しました。
該報告書は実に日本財政史上に一新紀元を画すべき記念塔たるべき大文であります。私は書中の勧告は抽出的に採択されるべきではなくこれを全体として採り入れて初めてシャウプ博士の意図されるが如き合理的にして公正なる税制の基礎たり得るものなることを十分に了承しております。
ゆえに政府はこの事実を念頭において報告書を検討した上、妥当なる税制案を作成しこれを来る国会に提出する所存であります。
この機会に、私は政府に代ってシャウプ使節団のじん大なる御労苦に対しかつ閣下がわが国民福祉のために絶えず賜る御配慮に対して深厚なる謝意を表します。
--引用終わり--